『夏子の酒』という漫画をご存知でしょうか?
これは漫画家・尾瀨あきら先生のロングセラー・コミックで、
酒蔵を継ぐはずだった兄が亡くなったため、東京での編集者生活をあきらめた
主人公・夏子が故郷・新潟へ帰り、兄の遺志を継ぎ幻の米で究極の純米酒を醸していくというストーリーです。
森喜酒造の代表銘柄である『るみ子の酒』が誕生するきっかけとなった漫画、
そして「純米酒」との出会いを与えてくれた漫画でもあります。
1960年、現弊社専務・森喜るみ子は造り酒屋の長女に生まれ、大学を卒業後、製薬会社に勤めていました。ところが、父が脳梗塞で倒れ、会社を辞めて急きょ結婚。1989年からは夫婦で蔵へ入り、杜氏の指導を受けて酒造りを始めました。
長男、次男と続けて生まれてきた幼子を育てながらの蔵での生活でしたが、そんな矢先に当時、売上のほとんどを占めていた大手メーカーから取引の打ち切りを宣告され、廃業の危機に立たされました。
どうしたらいいのか悶々としていた時に出会ったのがこの『夏子の酒』。
主人公は自分と同じ造り酒屋の跡取り娘。境遇が似ていて、思い悩む姿に共感。
「地方の蔵のことがあんなに詳しく書いてあるとは。
一冊目を読み進める途中から涙がボロボロ出て止まらなかった。いいお酒を造りなさい。真正面からぶつかればきっと理解してくれる
飲み手がいると背中を押される気分になりました。」
あふれる思いを手紙に書き、原作者の尾瀬先生に送りました。
すると一週間ほどして本人から返事が届き、純米酒蔵として知られる神亀酒造(埼玉県蓮田市)の小川原専務を紹介されました。
初めて神亀酒造の純米酒を飲み、
「はじめは少しひねたお酒だと思ったが、お燗にしてみると、すごい透明感が出てくる。純米酒
には包容力がある。行き着くところはここだと思った。
神亀の酒造りは基本的なことを忠実に実行していて、決して奇をてらわないことにも驚かされました。」
「次の造りは純米にしよう。」と決め、1992年からタンク二本を仕込みましたが分からないことだらけ。小川原専務 をはじめとする蔵元や酒屋さんが蔵仕事を手伝ってくれたり、アドバイスをしたりと素敵なつながりが生まれ、そんな 状況の中ようやく出来上がったお酒を尾瀬先生が「るみ子の酒」と名付けました。ラベルのデザインも尾瀬先生のご厚意によるものです。
その後、無農薬の山田錦を栽培するようになり、1998年からは「造る全ての酒が純米酒」という「全量純米酒化」を果たしました。
「るみ子の酒」はオンラインショップでお買い求めいただけます。